人と人とは、支え合いながら生きているものですが、時に不健全な形で、支え合ってしまっていることがあります。それは、支え合いを通り越し、お互いに相手がいなければ生きていけないほど依存している「共依存関係」という状態のことです。
共依存関係は、人間関係を対象とした依存のことで、世話をやく人(共依存の人)と世話をやかれる人(依存症の人)がペアになっています。
共依存の人は、他者に必要とされることで、自分の存在意義を見出します。
表面的には、相手に優しく思いやりのある態度で接するため、問題行動であるように思われにくく、また、本人も相手を助けている、支えている、という意識で世話を焼いているため、なかなか問題に気づきにくいのです。
ところが、その献身的に世話を焼くという行動こそが、依存症の人の依存をより強化させてしまうという深刻な問題でもあります。
共依存の人は、自分の心の穴を埋める代わりに、相手の欠けている穴をうめることに、一生懸命になります。
相手に献身的に尽くすことで、相手が、自分なしでは生きられないと思うように、相手をコントロールしているのです。そしてまた、自分に依存してくれる人がいないと、自分の価値を見出すことができず、自分の脚で立つことができません。
つまり、共依存の人は、自分が依存されていることに依存しているのです。
共依存になってしまう要因としては、アダルトチルドレン同様、アルコール依存症者の家族、機能不全家族といったことが上げられます。その他、日本の歴史的背景や文化なども影響しているのではないかと思います。
共依存の人は支配的な人に魅力を感じてしまったり、弱そうな人がやたらと気になったりしてしまうことが多いです。尽くし甲斐のありそうな人や状況を察するのです。そして、尽くしても尽くしても報われない状態を自分で引き寄せてしまうのです。
「相手に尽くすこと」自体は決して悪いことではありません。
その表面的な部分を大切にしながら、自分の内面を見ていくことや、自分を大切にすること、相手にとっての本当の優しさを見極める目を養っていきたいものです。